2014年5月20日火曜日

ダンスの動画観た

ビトさんがツイートしてた記事で紹介されてた動画を観ました、
そして結構オオーっと興奮した、その感想をワーッと書きます





ここを通れば誰もが踊り始める。世界的振付師が作る「振り子」を使ったアート作品


単純におもしろかったのだけど、シンプルな動画だったので観ながらボンヤリと色々考えてしまった。

「参加者みんな、緊張からかわりと上半身は固まってしまってて、下半身の動きのみで振り子をかわしてるのだけど、そのステップだけでもダンスに見え得るのだなー」とか、
「ダンスに見える人とあまりそう見えない人がいるけど違いは何だろ?」とか



ちなみに動画のタイトルは「Nowhere and Everywhere at the Same Time No.2」。

ハハーンこれは「No.1」があるやつだな?と
ググってたらあったんだけど、第一弾の方は動画作品としては残ってないみたい…。ただ、画像は結構いくつも見つかる



すごくきれい、ページの容量の都合なのかたくさんは貼れなかったのでこの3枚の画像を選んだのだけれど、美しい写真がいくつもあってしばらく見ていた


で、この写真を見てると、振り子の仕掛けは同じものなのだけれど、どうも素人の身のこなしでは無い感じ、プロのダンサーだと思う。第一弾のときはまだ「振り子の仕掛けを組み込んだ舞踏をお見せします」という公演だったのかな?踊る意志のない人を踊らせる、みたいなコンセプトは後から生まれたのだろうか。
このシリーズの制作者であるWilliam Forsythe氏のインタビュー動画もあったのだけど、翻訳はさすがに諦めてしまった…


以前にビトさんと話したときに「ダンスの中でソロ的にインプロの時間が設けられている場合がある」という話題が出て、
その話におれがめっちゃ食いついてしまって、しばらく質問攻めにしちゃったのだけど、そのときにした質問のひとつに「インプロで踊っている間、頭の中ではどんなことを考えてるんですか?」というのがあって。


その回答の中で一例として挙げてくれたのが
「空間の中に架空のラインを想定して、そのラインに触れないように、という制約をつけて踊る」
というもの。口語で答えてくれたものをちゃんと文章にできてるか不安だけど

その答えがすごい興味深かった、わざわざ「架空の制約」を設けることで創造する、みたいな考え方。
冒頭の動画を初めに観たとき、すぐその会話を想起したのだけど、いま第一弾の方をググって、写真を見て「あ、やっぱりあの話と同じやつだ!」と思った





人に意図せぬダンスをさせる仕組みは「拘束する」「任意の動作に誘導する」ということだと思う。実際に動画見るまでは、もっと不規則かつ、緻密に計算された複雑な拘束なのでは~、と予想してたんですけど、あんなにシンプルな振り子の連続だけで「踊り」を作れるのだなーと


「任意の動作に誘導する」というのは、楽器でいうとテノリオンとかが音階的なスケールを設定してることに近いと思って。



テノリオンとかの楽器の仕組みは(ザックリですが)上の画像みたいにパッドがいっぱいあり、触れると「ポーン」と鳴る。

最初は「ポーン……、ポーン……、」とシンプルなんだけど、それぞれのパッドは自動演奏しながらどんどん共鳴していき、美しい和音や複雑なリズムにもなる、という感じの。





iPhoneとかの音楽アプリにはこの演奏システムを使ってるものがとても多い、
あとWebで動作するやつだと、かなりシンプルだけどこれ↓とか
http://www.earslap.com/projectslab/otomata

この演奏システムだと鍵盤楽器弾けない人が適当に触っても不協和音にならず、キレイな和音やメロディーを作れるんだけど、それは任意のスケール内の音階しか鳴らないように予め設定されてるからで。

スケールというのは、これも超ザックリした説明なのだけど、「ドレミファソラシド(+半音)」の中で、いい感じになる音の組み合わせ。 たとえばベタな「ペンタトニックスケール」ってやつだと「ド・レ・ミ・ソ・ラ」。 
これだと、キーが「ド」の曲なら、「ド・レ・ミ・ソ・ラ」の中の音を適当に弾いてれば、アドリブで演奏してもいい感じになるよ~、みたいな。他にも「この音の組み合わせだと悲しい感じになる」とか「この組み合わせだと不思議で怪しい感じになる」とか、いろんなスケールがある。

要は「この中なら、どう鳴らしてもそう変にはならない」って音の組み合わせに予め設定されてて。

どう鳴らしてもそのスケール内に収まるから、音楽的な知識がない人がめちゃ適当に触ってもいい感じの和音になる〜みたいな



そういう、一見ランダム、自由に動かしてる、と錯覚するけれど、実際は決められたグリッドの中のことしかできないように設定されてる、という楽器に近いものをあの「ダンスさせられる」動画から感じた。

ダンスの知識も経験もない(踊ろうという意思もない)人たちの挙動を、シンプルな仕掛けでハックしてダンスさせてしまう、みたいなの。


ただ楽器だと、基本的に演奏しようと思ってる人しか触らないから、ああいう「なんか知らんけど意図に反してダンスさせられてしまう」ものとはちょっと違うよな、とも。

あの動画もアート系の会場での展示だそうなので、そういうのに興味がある人しか参加しないだろうから(あと事前に趣旨の説明みたいなのも多少はされてるのでは、とは思うし)、完全に意図に反してではないのだろうけど

ほんとに公道っていうか、ほんと普通の町中、全く興味ない人が知らずに通る場所にあの振り子システムがあって、「何?何なんこれ?」ってなりながら訳わからないうちに踊ってる人、というのも見たかった気はする、迷惑すぎるからなかなかできないだろうけど



そういう意味でだと、同じように楽器、音楽での体験に置き換えるなら、一つの部屋があって、普通に家具とか置いてるんだけど、それらの物を触ると任意の音が鳴る(コーヒーカップを触ると「ラ」の音がポーンと鳴る、タンスを開けると「ソ」の音がポーンと鳴る、みたいな)部屋で、そこに趣旨を説明されてない数名の人が入って、普通に生活してるだけなのだけど、いくつもの音が鳴って音楽になる、みたいのあったらおもしろそう、と思ったけどもうそういうのやり尽くされてるのかな



自分が(ほんのちょっとだけど)「仕組み」がわかるものは音楽と楽器だけなので、よくわからないものに遭遇したときに、いつもその仕組みを「えっと、これもし音楽だったら…」とか「楽器演奏で言ったら…」みたいに置き換えて考えてしまうのあんまし良くないクセだなーと思う

8 件のコメント:

  1. 不規則な動きをするものがあるだけで偶発的な動きが産まれるガイダンスになったり、人の日常的な動きをデベロップするだけでダンスになり得るし(何気無く首を回したり、貧乏ゆすりだったり、物を運ぶ動きだったり)コンセプチュアルであればあるほど振り付けとしてもインプロとしても成り立ちますね。音楽のことはよくわからないのでそのへんの違いとかもまた話したいですねー!(話がそれた気がしますが申し訳ないです!)

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    1. 「文の修正+追記しました!」ってちゃんと完成したらコメント返そうと思ってたんですけど、全然書き上がらないうえにどんどん話が長くなって、収拾~、ってなってる!(まだ書けてない)また話したいです!「架空の制約(架空のラインなど)を想像する訓練はあったんですか?」とか、あとステップ問題についても訊いてみたいことがある、まだゆっくり書き足していきます~

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  2. 楽しみにしてます!おそらくですがこのフォーサイス自身が世界的に有名な方なんですが、オランダでメソッドとして習ったものはフォーサイスからきてたのかなと…先生のプロフィールとか覚えてないので微妙ですが。そのなかで架空のライン、架空の高さなかもあります。制約、まさにそれー!という感じです。
    あとは体のパーツ(指とか肘とか膝とか)を限定してそのパーツからリードさせて動かして行くやり方なんかもあります!ナイス考察、ナイスナイスヤング。

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    1. わっその話すごい、メソッドの源流がそもそもこの人だった、みたいな話!
      「架空の高さ」というのもどういう考え方なのか気になります、
      あと「特定パーツからリードさせていく」というのは、例えば肘だったら「肘を必ず第1アクションとして、肘のアクションから全体の流れを決めてく」みたいなことですか?それか「肘の動作を限定して、その制約の中で動きを作る」みたいなことなのかな…。どんどん質問ばっかりですいません~~……

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    2. 高さでいえば、架空の天井高を設定して例えば60センチぐらいの高さだけで動きをつくったりとかそれより低くでも良いですし。あとパーツの限定で私が前のコメントで言ったのは第一アクションから発展して流れを作るということですが、ヤングさんのいった動作を限定してというのも勿論あります!あとは、一つの決められたシークエンスをパーツで組み替えてその中で繰り返しをいれたりストップモーションとかスロウとか高速で動いたり、はたまたそのシークエンスを完全にリワインドでやる超絶頭使わないといけないテクニックなんかもあります!(リワインドは組み立てた順番を逆戻しではなく、映像なんかを逆戻しするやり方と一緒なので、腕を前に出す動きとかが体に向かって戻ってくるとかそういうことです。)

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    3. 日本でも人気のRosasですが去年WS受けに行ってきてこのレパートリーやったんですがこれも、全部通したら5、6分の決められたシークエンスがあってそれを複数のダンサーで組み立てなおして構成されてる作品です〜。なので全部のダンサーがもってる振りは限定されていて早さやそのシークエンスをパズルみたいに始めるスタート地点が違ったりするという。最初のオレンジの上着の女性はそのもともとのオリジナルのシークエンスを完全にリワインドでやられてます。
      https://www.youtube.com/watch?v=vZEcwHBBQhI

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  3. "知識も経験もない(踊ろうという意思もない)人たちの挙動を、シンプルな仕掛けでハック"というの、ネットサービスとかインフラもそれに近いかも、などと思ってることとつながるかんじがあったし(それをまだヤりたいし)、ダンスってそういうふうにヤったり見れるのか、と大変面白かったデス

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    1. ありがとございます!といってもビトさんの話がめちゃくちゃにおもしろくて(上のコメントも最高)自分はそれを文に起こしただけなのですが!
      ワーって書いたのいま読み直すと、「知識も経験もない~シンプルな仕掛けでハック」前後の文、ともすると読む人によってはネガティブにも取れるような、伝わりづらい文章になってるかな…、と思ったのですが、自分としては「そこがおもしろいし、それっていろんなことにも流用できるじゃん!」という思いだったし、書きたかったポイントでもあったので、汲みとってくれて嬉しかったです

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